夏バテ予防は「胃腸のケア」がポイント
2018.07.26
連日、厳しい暑さが続きますね。この季節になると「食欲がでない」「胃もたれ」「下痢をする」「頭痛がする」「体がだるい」などといった不調を訴えて来院する患者様が増えます。
このような夏の時期に見られる慢性疲労を総称して「夏バテ」といいます。特に代表的な症状は胃腸障害です。
では何故このような症状が出るのでしょうか?通常、人間の体は自律神経(交感神経と副交感神経)が、気温の上昇に応じて血管をひろげて汗とともに熱を逃がし、気温の低下に合わせて血管を縮めて熱を保つことで体温を一定に調節しています。ところが夏の暑さや冷房などの影響で自律神経がオーバーワークになると、体温調節のバランスが乱れて体の随所にさまざまな不調を引き起こすのです。胃の場合は交感神経が強く働くことで血管が収縮して血流量が減り、胃の蠕動運動の低下や胃酸・胃粘液の分泌減少をもたらします。そのため胃の働きが全体的に低下し、食欲不振や胃もたれといった症状を引き起こします。
ではこのような夏バテを予防するにはどうしたら良いのでしょうか?暑い日の食事は、ついつい冷たいものやさっぱりしたものだけで済ませてしまいがちです。しかし、これでは夏バテを乗り切ることはできません。たとえ暑い日でも栄養をしっかり摂ることが大切です。
例えば、香辛料は胃の働きを良くし、消化を助けると言われています。また、お酢などの酸味は唾液や胃酸の分泌を促し、食欲を増進させると言われます。ですから、夏の食事ではこれらを上手に使用するのが良いでしょう。しかしながら、弱りすぎた胃腸では、香辛料やお酢が逆に負担になってしまうこともあります。そのような時は、胃粘液を分泌させる薬、胃酸の過剰分泌抑え胃を修復させる薬、胃の運動機能を高める薬などで、疲れた胃を少し助けてあげるのもいいかもしれません。また、夏バテ予防のポイントは胃腸にあるという考え方は東洋医学でも同様であり、胃腸の機能を高める漢方を用いることもあります。「補中益気湯」「清暑益気湯」「六君子湯」などといった漢方薬もおすすめです。
「胃腸のケア」をきっちり行い、この厳しい夏を乗りきりましょう。
院長
青森県三沢市出身
函館ラ・サール高校卒
近畿大学医学部卒
医学博士
日本内科学会認定 総合内科専門医
日本消化器病学会認定 消化器病専門医
日本内視鏡学会認定 内視鏡専門医
日本肝臓学会認定 肝臓専門医
日本医師会認定 産業医
日本肝癌研究会 会員
日本超音波学会 会員
難病指定医 消化器科
身体障害者福祉法第15条第1項による指定医(障害区分:肝臓の機能障害)