INFORMATIONお知らせ

進化するレントゲン:
フラットパネルディテクターとAI(人工知能)診断

2023.03.29

AIレントゲンのイメージ写真

角田記念まつだクリニック内科・消化器内科では、2023年3月24日(金)より新しい医療機器「X線フラットパネルディテクター(FPD)」「胸部レントゲン画像病変検出ソフトウエア(FUJIFILM CXR-AID)」を導入いたしました。
今回はその機器について詳しく解説したいと思います。

|レントゲン写真から分かること

レントゲン検査は健康診断で必ずといっていいほど行う検査です。当院でも毎日のように実施しています。

例えば下記のような症状で使用します。

  • 胸の痛みで受診した場合:
    自然気胸(肺に穴があきつぶれる病気)がないかチェックします
  • 咳のため受診した場合:
    肺炎や肺癌がないかチェックします
  • 腹痛のため受診した場合:
    腸閉塞や尿管結石がないか調べます
  • 症状のない生活習慣病:
    心肥大や心不全の兆候がないか定期的にレントゲンで調べます

最近では、CTやPETなど優れた検査機器もありますが、検査費用が安い、機器が広く普及し手軽に受けられる、被爆量が少ない、その割に得られる情報も意外に多いなど、レントゲンのほうが優れている点も多くあります。

|進化するレントゲン:
フラットパネルディテクター

当院では最新のフラットパネルディテクター(FPD)というレントゲンシステムを使用しています。

以前使用していたコンピューティッド・ラジオグラフィー(CR)は、放射線を蓄える特殊な板に放射線を照射して撮影し、撮影終了後にその板を撮影台から取り外して運搬し、読み取り機に入れて画像化していました。

新たなFPDでは、放射線が照射される板自体で画像化までを完了してしまいます。よって、CRと比較し画像の劣化が少なく、低被爆で高画質なレントゲン画像が得られます。
また、特殊な板の取り外しと運搬の作業が省略されるため、大幅に撮影時間が短縮されます。
患者さまや医療者に負担となっていた、レントゲンの撮り直しや、胸部正面撮影→側面撮影といった連続撮影も簡単に行えるようになりました。

現在レントゲンを大量に撮影する総合病院や健診センターでは広く導入されていますが、今後はクリニックでも徐々に普及していくと期待されます。

|進化するレントゲン:AI(人工知能)診断

当院では胸部レントゲン画像病変検出ソフトウエア(FUJIFILM CXR-AID)を導入しています。
これは撮影した胸部レントゲン画像をAI(人工知能)が自動解析し、肺癌の可能性がある影、肺炎の可能性のある影、気胸が疑われる領域をマーキングし指摘します。

解析は30秒程度で完了します。これを医師が確認し、病変の見落とし防止を支援するシステムです。
AI診断に関しては、当院で実施する全ての胸部レントゲンに無料で実施しています。

レントゲン検査は非常に身近で基本的な検査ですが、確実に進化を遂げています。
レントゲン検査の最大の長所は気軽に受けられることです。症状があるときは当然ですが、症状がないときでも病気の早期発見のため定期的にレントゲン検査を受けましょう。

『糖尿病』を放置していませんか?
2023.03.06

糖尿病のイメージ写真
厚生労働省の2019年「国民健康・栄養調査」によると、我が国で「糖尿病が強く疑われる人」は約1,000万人と推定されています。
そして、その4分の1は未治療で放置されていると言われており、糖尿病患者様が安心して負担なく治療できる環境整備が急務です。

角田記念まつだクリニック内科・消化器内科では、これまで「かかりつけ医」「総合内科専門医」として、糖尿病の患者様が通院できる環境を整備してきました。
現在、当院で可能な糖尿病の検査・治療は下記の通りです。大方の糖尿病検査・治療は可能と考えております。

|当院で可能な主な糖尿病の検査

  • 血糖値、HbA1C (ヘモグロビン・エー・ワン・シー)
    糖尿病の程度の指標です。院内の検査機器を使用し5分程度で結果が分かります。
  • 尿中アルブミン:
    糖尿病の合併症の一つである糖尿病性腎症の早期発見に役立ちます。
  • 血中インスリン、尿中Cペプチド、75gOGTT:
    糖尿病の病態把握、治療方針の決定に役立ちます。
  • 自己血糖測定:
    簡易自己血糖測定器を用いて自分で血糖値を測定します。
  • 間欠スキャン式持続血糖測定(商品名:フリースタイルリブレ):
    センサーを皮膚に貼り付けて24時間の血糖値を測定します。

|当院で可能な注射薬による糖尿病治療

  • インスリン療法(商品名:ライゾデグ、ノボラピットなど):
    血糖を下げるホルモンであるインスリンを自己注射します。
  • BOT療法(商品名:トレシーバなど):
    基礎インスリン補充目的の持続効果型インスリンの注射と経口血糖降下薬を併用する治療です。
  • GLP-1受容体作動薬(商品名:トルリシティなど):
    膵臓からのインスリン分泌を促進する作用がある小腸から分泌されるホルモン(GLP-1)を、より作用しやすいように構造を変えた製剤です。

|当院で可能な飲み薬による糖尿病治療

  • DDP-4阻害薬(商品名:ジャヌビアなど):
    膵臓からのインスリン分泌を促進する作用がある小腸から分泌されるホルモン(GLP-1)が分解されるのを防ぎ、血糖値を下げます。
  • GLP-1作動薬(商品名:リベルサス):
    上述の注射薬の飲み薬です。
  • SGLT2阻害薬(商品名:フォシーガなど):
    腎臓において、糖の再吸収を抑えることにより、糖を尿と一緒に外に出し、血糖値を下げます。
  • スルホニル尿素(SU)薬(商品名:アマリール、オイグルコンなど):
    インスリン分泌を司る膵臓に働きかけ、インスリン分泌を促進させ血糖値を下げます。
  • 即効型インスリン分泌促進薬(商品名:シュアポストなど):
    スルホニル尿素薬と同様に膵臓に働きかけ、インスリン分泌を促進させ血糖値を下げます。
    SU薬と比較すると吸収・分解が非常に速いことが特徴で、主に食後の高血糖を下げる目的で服用します。
  • ビグアナイド(BG)薬(商品名:メトグルコ、ツイミーグなど):
    肝臓で糖が作られるのを抑えたり、筋肉での糖利用を高めたりすることで、血糖値を下げます。
  • αグルコシダーゼ阻害薬(商品名:ベイスンなど):
    腸管において、食べ物に含まれるブドウ糖の吸収を抑えて、食後の血糖値が高くなるのを防ぎます。
  • チアゾリジン薬(商品名:アクトス):
    脂肪や筋肉に対してインスリンの働きを高めることで、ブドウ糖の利用を促進し、血糖値を下げます。

|食事指導

医師や看護師が食品交換表や食事記録表を用いて行っています。
厳重な食事管理を必要とする場合や患者様から希望があった場合は、管理栄養士のいる専門病院に依頼しています。

|糖尿病の治療・検査の最近の話題

  • GLP-1作動薬は、膵臓からインスリンを分泌させるだけでなく、体重減量や食欲低下の効果もあり糖尿病治療薬として非常に期待された薬でしたが、これまで注射薬しかありませんでした。
    しかしついに内服薬が開発され、2021年から「リベルサス」が使用できるようになりました。
  • 長らく糖尿病治療の基本薬とされていたビグアナイド薬に2022年からはツイミーグが加わりました。
    従来のものよりも安全と効果の面で期待されています。
  • 2022年から間欠スキャン式持続血糖測定が保険収載されました。
    これまでは皮膚に針を刺して少量の血液を出し自己血糖値測定をしていましたが、間欠スキャン式持続血糖測定では皮膚にセンサーを張り付けて血糖値を測定します。
    痛みが少なく、24時間の血糖値が測定できます。

このように、角田記念まつだクリニック内科・消化器内科では、少しでも糖尿病患者様の治療を負担なく続けられるよう努めております。

治療抵抗性の患者様、合併症を有する患者様に関しては、「かかりつけ医から糖尿病専門医・専門医療機関紹介基準」「かかりつけ医から腎臓専門医・専門医療機関紹介基準」に準じて、専門医・専門医療機関と連携をとりながら治療を行っています。

【PDF】かかりつけ医から糖尿病専門医・専門医療機関紹介基準
(作成:日本糖尿病学会 監修:日本医師会)

【PDF】かかりつけ医から腎臓専門医・専門医療機関紹介基準
(作成:日本腎臓学会 監修:日本医師会)

糖尿病の治療は継続が大切です。そのためには、まずは通院しやすい医療機関に相談することをお勧めします。
健診で「血糖値」「HbA1C」「尿糖」など「糖尿病」を疑う所見を指摘された場合は、遠慮なくご相談ください。

【2023年春】花粉飛散予想
2023.02.16

花粉アレルギーに苦しむ女性のイメージ
2023年春の仙台の花粉の飛散開始は2月下旬(2月24日頃)と予想されています。また、例年よりも飛散量は多くなると予想されています。

花粉症に対しては下記のような対策が有効です。

  • マスク、眼鏡、帽子を着用する
  • 表面がすべすべした素材のコートを着用する
  • 帰宅時に衣服や髪をよく払ってから入室する
  • 入室後、すぐにうがい、手洗い、洗顔をする
  • 窓、戸をなるべく閉めておくようにし、換気時には窓を小さく開け、短時間にとどめる
  • 洗濯物の外干しは避け、室内干しや乾燥機を使用する
  • 特に窓際を念入りに、こまめに掃除をするようにする
  • 空気清浄器を使用する
  • ニュースなどで花粉の飛散状況をチェックし、飛散の多いときには念入りに対策したり、外出を控える

角田記念まつだクリニック内科・消化器内科では、花粉症に対しては、抗アレルギー薬(内服薬・点眼薬・点鼻薬)の処方を行っています。
これらの抗アレルギー薬は即効性に欠けるため、花粉飛散開始の1~2週間前からの服用が必要といわれています。
例年、花粉症の症状にお悩みの患者様は早めにご相談ください。

完全に眠ってしまうって本当?鎮静剤を使った内視鏡
2022.12.13

鎮静剤を使用した内視鏡検査イメージ写真
近年の内視鏡装置の進歩、またそれを用いる我々専門医の手技向上は目覚しいものがあります。しかし、未だ胃カメラや大腸内視鏡は決して「楽な検査」ではありません。そのような中、鎮静剤を使用した内視鏡のニーズは年々高まっています。令和3年度の当院の場合、胃カメラでは9%、大腸内視鏡では27%の患者さまが鎮静剤を使用して内視鏡を受けられています。以前のように患者さまに我慢を強いる時代ではなく、患者さまの価値観を尊重し、希望の多様性に添わなければいけない時代です。鎮静剤を使用した内視鏡という選択肢は世界的な潮流といえます。

|適切な鎮静レベルとは?

鎮静剤を注射するとウトウトと眠ったような状態で内視鏡が受けられます。よく患者さまに「先生!完全に眠ってしまうのですよね?」と聞かれます。答えは「Yes」でもあり「No」でもあります。ガイドラインでは「意識下鎮静」が適切な鎮静レベルとして推奨されています。これは刺激を加えないとウトウトと眠っていますが、声をかけたり、体に触れたりすると目を開けて反応するレベルです。これを聞くと心配になる患者さまが時々いらっしゃいます。しかし、過剰な鎮静は、呼吸が弱くなったり、血圧が低下したり危険を伴います。また、この鎮静レベルでも患者さまの満足度は非常に高いというエビデンスもあります。当院ではミダゾラムという鎮静剤を使用しています。この薬には健忘作用という検査中の嫌なことを忘れてしまう効果があります。このため、実際は検査中の事をあまり覚えていない患者さまがほとんどです。

|鎮静剤を使用した内視鏡を安全に行うために

鎮静剤を使用した内視鏡は安全に実施されなければいけません。検査前の問診で患者さまから安全に実施するための情報を得ることはとても大切です。内視鏡の鎮静剤には新旧色々なものがあります。その中で、当院で使用するミダゾラムは、効果出現・消失が早いこと、安全治療域の幅が広く余裕があることより使いやすい薬剤です。内視鏡の鎮静剤としての歴史も長く、現在でも広く使用されています。フルマゼニルとうい拮抗薬(鎮静剤が効き過ぎたときにその効果を打ち消す薬)が存在するのも長所で、当院にも常備しています。検査中はベッドサイドモニターで呼吸状態(血中酸素濃度)などを監視しながら行います。当院の検査ベッド(ストレッチャー)には酸素ボンベが搭載されおり、必要時にスムーズに酸素投与が行えます。検査終了後はリカバリールームで1時間程度、状態の観察を行います。

この度、ベッドサイドモニターを最新機種(FUKUDA DENSHI DS-8005F)に更新しました。血圧、心拍数、心電図、血中酸素濃度といった観察する基本的な身体情報は長らく変わりありません。これまで使用していたベッドサイドモニター(COLIN NEXTBP88)は名機で不調もなくまだまだ使用可能なのですが、購入後10年以上が経過し更新することとしました。長期にわたり当院で内視鏡を受ける患者さまを見守ってくれた功績に感謝します。新しいベッドサイドモニターは基本的な機能はこれまでのものと変わりありません。携帯性が向上しており、移動時やリカバリールームでの使用がこれまでより容易になると期待しています。

角田記念まつだクリニック内科・消化器内科では、今後も引き続き「苦しくない」「安全で」「正確な」内視鏡をめざします。

あなたの脂肪肝、本当に大丈夫ですか?
2022.11.28

・「脂肪肝」とは?

肝臓に脂肪がたまりフォアグラのような状態になったものを「脂肪肝」といい、いまや日本人の3人に1人が罹患していると言われています。健康診断で指摘されたことがある方も多いのではないでしょうか?
これまで「軽い病気」と考えられてきた脂肪肝ですが、最近になり「決して油断してはいけない病気」であることが分かってきました。

・危険な脂肪肝の存在

お酒が肝臓に悪いことはよく知られていますが、日本人が脂肪肝になる原因の多くは「食べ過ぎ」です。
お酒をたくさん飲まない人の脂肪肝を「非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)」といいます。NAFLDの患者では狭心症や心筋梗塞が多いことが近年の研究で知られており、生活習慣病の温床として認知されるようになりました。
NAFLDには下記2つのタイプがあります。
■症状が軽く改善しやすい単純性脂肪肝(NAFL)
■重症の非アルコール性脂肪肝炎(NASH)
特に後者のNASHは、放置すると肝硬変や肝臓癌へ進行します。NAFLも放置するとNASHに進行することがあります。
脂肪肝の人すべてが重症化するわけではありませんが、早期に診断して原因となる生活習慣や肥満を改善し、慎重に経過観察することが大切です。

 

・重症化する危険性のある脂肪肝(NASH)を診断するには?

肝臓は「沈黙の臓器」と言われているため、症状からは診断できません。また、症状があるときは既に進行している可能性があります。
代表的な肝臓の病気で知られているB型・C型肝炎は血液検査をすれば簡単に診断できます。しかし脂肪肝(NASH)では「これを調べれば間違いなく診断できる」という血液検査は現時点では存在しません。
よって、複数の血液検査や画像診断を駆使し、その解釈で病気の存在を疑う医師のテクニックが不可欠です。
こんなに身近にありふれた病気であるにもかかわらず、脂肪肝(NASH)の診断はとても難しいのです。

・何とか早期に脂肪肝(NASH)を発見できる診断方法は無いでしょうか?

完璧ではないのですが、ひとつの方法として挙げられるのは「FIB4インデックス」というものです。
これは肝臓の病気の進行度を予測する計算式のことで、年齢・血小板値・肝機能(AST、ALT)といった、健康診断で一般的に行われている検査項目を基に導き出されます。「1.30以上」が脂肪肝(NASH)を疑うひとつの指標です。
日本肝臓学会のホームページにアクセスして該当項目の検査結果を入力すれば、誰でも値が計算できます。

他に挙げられる簡単な診断方法としては、血小板値の確認があります。
一般に血小板の基準値は15万~35万個くらいです。ほとんどの肝臓の病気は、進行すると徐々にこの血小板値が低下していきます。そして脂肪肝(NASH)では、C型肝炎など他の肝臓の病気に比べ、症状が進行しても血小板値の低下が緩やかであると言われています。
よって、より早期に脂肪肝(NASH)を発見するためには、血小板値の正常範囲内である20万個を切る頃から疑ってもよいと思います。血小板の検査結果が正常値の範囲内であっても、実際の数値をしっかりとご確認ください。

健康診断の結果を今一度ご確認頂き、脂肪肝に関して何か気になることがありましたら遠慮なくご相談ください。

令和3年度 当院における上部内視検査(胃カメラ)の実施状況
2022.04.14

胃がんの早期発見・早期治療のため胃内視鏡(胃カメラ)検診を受けましょう!

昨年度の当院の胃カメラの実施状況に関してご報告します。当院で胃カメラを受けられる患者さまの参考になれば幸いです。

・実施した人数

令和3年度 528人          
令和2年度 555人          
令和1年度 570人          
平成30年度 540人          

 

・検査の種類

経口内視鏡(口からの胃カメラ) 286人(54%)
経鼻内視鏡(鼻からの胃カメラ) 192人(36%)
鎮静剤を使用した上部内視鏡(眠ってする胃カメラ) 50人(9%)

 

・主な検査の目的

胃の痛み・胸やけなど症状の原因を調べるため 200人(38%)
前回の胃カメラで指摘された病変の経過観察のため 96人(18%)
健康診断(バリウムなど)で異常を指摘されたため 54人(10%)
仙台市胃がん内視鏡検診 140人(26%)

 

・診断した胃の病気で特筆すべきもの

早期胃癌 6人
未治療のピロリ菌による胃炎 157人
治療を必要とする逆流性食道炎 8人
胃・十二指腸潰瘍 5人
胃粘膜下腫瘍 15人
胃腺腫 3人
食道胃静脈瘤 2人
アニサキス症 1人
薬剤性食道炎 1人

 

≪総括≫

昨年度の胃カメラの受診者は例年より若干少なめでした。コロナウィルス流行に伴う病院への受診控えが問題となっておりますが、幸い当院では進行胃癌の患者さまはいませんでした。

早期胃癌と診断した患者さまは例年より多かった印象です。昨年、胃カメラを最新機種に更新したこと、開院後24年が経過しかかりつけ患者さまが高齢化してきていることが影響していると推定しています。

衛生環境の向上から国内ではピロリ菌感染者は減少傾向にありますが、当院ではピロリ菌による胃炎の診断は増加傾向にあります。2020年にピロリ菌の診断装置を導入したため、ピロリ菌の診療治療目的に受診される患者さまが増加したためと推定しています。

胃カメラの苦痛軽減のニーズは年々高まっていて、昨年度は半分弱の患者様が経鼻内視鏡や鎮静剤を使用した内視鏡を選択していました。従来の経鼻内視鏡は画質にやや不満がありましたが、最新機種ではこれを克服しているため自信をもってお勧めできるようになりました。苦痛なく精度の高い検査を受けられるように今後も環境を整えていきたいと思います。

昨年度、ダビガトラン(商品名:プラザキサ)による薬剤性食道炎を経験しました。胸やけのある患者さまの原因を調べるため胃カメラを行ったところ、特徴的な食道炎を認めました。ダビガトランを内服していたため、この疾患を疑い他の薬に変更したところ改善しました。ダビガトランは心房細動の患者で血栓予防のために使われる抗凝固薬です。この病気は2012年頃に報告され、当時は話題になりました。近年は他の抗凝固薬がいくつか発売され、ダビガトランを内服している患者さまは減った印象です。しかしながら、いまだ留意しなければいけない病気であると思いました。

令和3年度 当院における大腸内視検査(大腸カメラ)の実施状況
2022.04.14

仙台で大腸内視鏡検査はまつだクリニック

昨年度の当院の大腸内視鏡実施状況に関してご報告します。当院で大腸内視鏡検査を受けられる患者さまの参考になれば幸いです。

・実施した数

令和3年度 184人          
令和2年度 156人          
令和1年度 136人
平成30年度 162人

 

・実施した大腸内視鏡の詳細

全大腸内視鏡検査 118人(64%)
鎮静剤を使用した(眠ってする)全大腸内視鏡検査 51人(27%)
S状結腸内視鏡* 15人(8%)

 

・主な検査の目的

血便の原因を調べるため 30人(16%)
腹痛、下痢、便秘などの症状の原因を調べるため 49人(26%)
前回の大腸カメラで指摘された病変の経過観察のため 23人(12%)
健康診断(便潜血反応など)で異常を指摘されたため 63人(34%)

 

・診断した大腸の病気で特筆すべきもの

進行大腸癌 1人
早期大腸癌 3人
大腸ポリープ 70人
潰瘍性大腸炎・クローン病 4人
虚血性腸炎 1人
アメーバー性腸炎 1人

 

・大腸ポリープの転帰

当院でポリープを治療切除 6人   
高次医療機関にポリープの診断治療を依頼 10人   
経過観察 54人   

 

≪総括≫

コロナウィルス流行に伴う病院への受診控えが問題となっていますが、昨年度の当院での大腸内視鏡検査の実施数は例年並みといった状況です。

患者さまの苦痛の少ない内視鏡へのニーズの高まりにより、鎮静剤を使用した大腸内視鏡の割合は3割程度と年々増加傾向にあります。クリニックを移転後、鎮静剤を使用した内視鏡を行えるよう環境整備したこともあり、最近では私自身も大腸内視鏡に対する不安感の強い患者さまへは積極的に鎮静剤の使用を勧めるようになりました。まずは、大腸内視鏡検査を受けていただき、しっかりと診断を行うことが大切だと考えています。

大腸ポリープに関しては、昨年度当院では6人の患者さまの治療を行いました。すべて偶発症なく無事に完了しています。技術的に難しい患者さまに関しては東北大学病院、仙台医療センター、東北医科薬科大学病院、仙台市立病院に治療を依頼しました。

昨年、無症状のアメーバー性腸炎を経験しました。アメーバー性腸炎は赤痢アメーバに汚染されたものを摂取することにより発症し、多くは腹痛、下痢、血便といった症状を呈します。私が当院に着任してから3人目のアメーバー性腸炎の患者さまですが、これまではいずれも症状のある患者さまでした。しかしながら、今回のように便潜血陽性のため内視鏡を行い発見されるケースが0.1%の頻度であると国内で報告されています。症状ない患者さまの大腸内視鏡検査においても留意しておかなければいけません。

*S状結腸内視鏡検査:
通常の大腸カメラは下剤を内服して腸を空っぽにしてから内視鏡を挿入し肛門から盲腸まで全ての大腸を観察します。よって、全大腸内視鏡検査ともいいます。S状結腸内視鏡は肛門から近い部分の大腸(S状結腸~下行結腸まで)のみ観察します。当院では血便の患者さまが来院したとき、浣腸や下剤を使用せずに当日緊急で行っています。下剤を内服しないため、また奥まで内視鏡を挿入しないため、安全に行うことができます。また、出血の程度が分かるため緊急性の有無の判断に役立ちます。血便の場合は肛門から近い大腸に病気が存在することが多いため、出血の原因が診断できることもあります。しかしながら、下剤を内服していないため便や血液が邪魔をして詳細な観察ができません。また、全ての大腸を観察していないのが不十分です。よって、多くの場合、後日下剤を内服して全大腸内視鏡を行っています。その前の偵察のようなものです。

胃がんの早期発見・早期治療のため胃内視鏡(胃カメラ)検診を受けましょう!
2021.07.25

胃がんの早期発見・早期治療のため胃内視鏡(胃カメラ)検診を受けましょう!

 これまで胃がん検診においては長い間、胃エックス線検査が推奨され行われてきました。一度でも受けたことのある方はお分かりだと思いますが、バリウムという白い液体を飲んだのちに、検査台の上でゴロゴロと体位を変え、レントゲン写真を撮っていく検査です。胃癌による死亡率を減少させるというしっかりとした科学的根拠もあるのすが、バリウムを飲んだあとお腹が痛くなる、検診を受ける日・場所などが限定される、要精査になる(検診でひっかかる)と再び胃カメラを飲まなければいけないなど、不満の声の多い検診の一つです。

 このようななか、胃カメラによる胃がん検診の導入を望む声はかなり以前よりありました。しかし、当時は科学的根拠が少ないことから長らく先送りとなっていました。ところが近年、国内外の研究から胃内視鏡検診が胃癌の死亡率を下げるという根拠が徐々に示されるようになり、平成27年に厚生労働省「がん検診のあり方に関する検討会」より胃がん検診の検査項目は「胃エックス線もしくは胃内視鏡とする」との提言がなされました。これを受け全国の市民検診で胃内視鏡検診が徐々に導入され、仙台市でも平成31年度より開始されることとなりました。

 胃カメラによる胃がん検診は、お近くの登録医療機関(診療所・病院)で受けることができますので利便性は向上すると思います。異常が発見された場合はその場で病変を採取し、精密診断をすることもできます。胃エックス線検査よりも胃癌による死亡率を下げる可能性があるのではないかというデータも出揃いつつあります。

 胃カメラは一般的に偶発症(被検者の望んでいない事象)の極めて少ない安全な検査なのですが、残念ながら決して楽な検査ではありません。市民検診では比較的苦痛が少ないと言われている経鼻内視鏡は選択可能です。しかし、当院を含む多くの病院・診療所などで行われている鎮静剤・麻酔薬を使用しての胃内視鏡(いわゆる眠ってする内視鏡)は市民検診ではできません。何故ならこれらの薬剤を使用した胃内視鏡は、万全の対策を講じて実施しても明らかに偶発症の頻度が上昇するということが学会等の全国調査で知られており、「安全な検査方法でがんを早期発見する」という市民検診の基本理念に反するものであるからです。但し、「少々のリスクはあっても苦痛なく検査を受けたい」という、個人の判断も尊重されるべきであると思います。このような方々には、市民検診ではなく個人検診での鎮静剤・麻酔薬を使用した胃内視鏡をお勧めします。

 胃エックス線検査と胃内視鏡検査はそれぞれ良い点、悪い点ともにあり、現時点では優劣を判断し難いのですが、胃がん検診の選択肢が増えたことは素晴らしいことだと思います。胃内視鏡検診のスタートを契機に胃がん検診の受診率が向上し、胃がんの早期発見・早期治療につながることを期待したいと思います。

苦しくない胃カメラをめざし、最新の細径内視鏡を導入しました!
2021.05.10

胃カメラは口や鼻から内視鏡を挿入して観察し、胃癌・胃潰瘍・十二指腸潰瘍・胃炎・逆流性食道炎・食道癌といった病気がないか調べる検査です。2016年の国の指針で胃がん検診においても胃カメラが推奨され、より身近な検査となりました。しかし、残念ながら未だ決して楽な検査とはいえないのが現状です。

そのような中で近年、胃カメラの苦痛を軽減するため、細径内視鏡(通常内視鏡より細い内視鏡)を用いた経鼻内視鏡(鼻からの胃カメラ)や経口内視鏡(口からの胃カメラ)のニーズが高まっています。しかし、従来の細径内視鏡では技術的な限界から、その画質は通常内視鏡に比べ劣るものであり、内視鏡の細径化と高画質化の両立が長年の課題とされていました。

角田記念まつだクリニック内科・消化器内科では、この度、主に経鼻内視鏡で使用していた細径内視鏡を従来のオリンパス社製EVIS LUCERA ELITE ® OLYMPUS GIF-XP290Nから同社の最新機種であるOLYMPUS®GIF-1200Nに更新しました。今回、導入した細径内視鏡はこれまでの細さ5.4mmの極細を維持しつつ、ハイビジョン画像を実現しています。その画質は、当院がこれまで経口内視鏡で使用していた太さ8.9mmの通常内視鏡(EVIS LUCERA ELITE ® OLYMPUS GIF-H290)と比較しても遜色はありません。よって、今回導入した細径内視鏡は経口内視鏡・経鼻内視鏡の区別なく使用可能であり、どちらにおいても検査の精度向上と苦痛低減が期待できます。

角田記念まつだクリニック内科・消化器内科では今後も引き続き「苦痛の少ない」「安全で」「正確な」内視鏡検査をめざします。

【新しくなったの細径内視鏡の特徴】

|精度の高い検査の実現

・新型イメージセンサーの搭載とオリンパス社がこれまで培ってきた細径内視鏡の組み立て技術により、5.4mmの極細を維持しつつ、これまので細径内視鏡では実現できなかった明るく、ノイズの少ないハイビジョン画像が得られるようになりました。当院で新たに導入した最新の内視鏡システム(EVIS X1)と組み合わせて使用することにより、その威力はさらに向上し、より微細な血管や粘膜の構造がとらえられるようになり病気の早期発見に貢献します。

|苦しくない胃カメラのために

・5.4mmの極細の胃カメラは挿入時の鼻の痛みや咽頭反射(いわゆる胃カメラのときの「オェ!」)の軽減に役立ちます。
・従来の細径内視鏡と比較し先端部により柔らかい素材を使用していますので、挿入時の苦痛軽減が期待できます。
・従来の細径内視鏡では細いがうえに「こし」が弱く、胃の奥の十二指腸の挿入に難渋することがありました。新しい細径内視鏡ではこの部分を改良調整しております。

胃痛、胃のもたれ、吐き気、黒い便など気になる症状が続く場合は心配なさらずに是非ご相談ください。胃内視鏡検査(胃カメラ検査)について詳しくは下記をご覧ください。

まつだクリニックではオンライン診療を受けられます。
2021.04.02

オンライン受診

仙台市若林区六丁の目の内科・消化器内科、角田記念まつだクリニックです。当院で行っておりますオンライン診療について、そのメリットや流れについてご案内いたします。

|オンライン診療とは

スマートフォンやパソコンを接続して、クリニックの予約・問診・診察・処方・決済をインターネット上で行うサービスです。

|オンライン診療のメリット

次のような患者さまで定期的な通院が必要な場合、無理なく治療を続けられる様に負担を軽減する選択肢となりえます。
・病院が遠方にあり通院するのは負担が大きい方
・日中が忙しく移動時間や待ち時間を確保するのが困難な方
・感染症の流行している中での通院が不安な方

|オンライン診療でできること

・いつもの先生の診察を通院せずに受けられるから、交通費や移動時間がゼロ
・スケジュール通りにスムーズに診察してもらえるから、忙しい方も便利
・その場で決済、処方せんや薬も届けてもらえるので、会計やお薬の待ち時間もゼロ

|当院のオンライン診療のポリシー

・初診は原則として対面での診療を行います。患者さまからご要望があり、担当医が病状が安定しオンライン診療が可能と判断した場合に開始となります。
・オンライン診療は、触診等を行うことができない等の理由により、得られる情報が限られています。そのため初診以後も、同一の医師による対面診療を適切に組み合わせて行うことが、厚生労働省の「オンライン診療の適切な実施に関する指針」で求められています。よって、新たな症状に対しては原則対面での診察を行います。また、病状が安定していても、原則約3か月に1回は対面での診察を行います。

|オンライン診療の流れ

①必要な情報を確認
当院ではオンライン診療サービス(クロン)を利用しています。オンライン診療を希望される患者さまは医師もしくはスタッフにご相談ください。アプリのダウンロード方法、予約の際に必要な「医療機関コード」をお教えします。

②診療を予約、問診回答
クロンにアクセスし、医療機関コードを入力してください。診療を予約し、問診に回答してください。

③ビデオ通話で診察
予約時間になりましたら医師から着信があります。

④クレジットカード(VISA、Mastercard、JCB、AMEX、Diners対応)で決済する
下記の費用が決済されます。
・診察代金
・情報通信機器の運用に要する費用 500円
・クロンアプリ利用料330円
・処方箋を薬局へ郵送する場合の切手代

⑤薬/処方箋が届く

いかがでしょうか?ご来院時に医師やスタッフより「医療機関コード」をお伝えする仕組みとなっておりますので、プライバシーに関しても安心してご利用いただけます。仙台、宮城、東北の患者さまにご利用いただき、受診の負担軽減につなげられることを願っております。
オンライン診療は下記よりご利用ください。