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過敏性腸症候群の診断に大腸内視鏡検査(大腸カメラ検査)は必要か?
2020.09.28

過敏性腸症候群とは、腹痛と便秘や下痢などの便通異常が慢性に続いたり、繰り返したりする病気です。
日本人の約10~15%が罹患しているといわれ、われわれのような消化器内視鏡専門医のいる消化器内科専門クリニックを受診することが多い病気の一つです。ストレス・腸内細菌・脳内ホルモン・体内ホルモン・遺伝などが発症に関わっているといわれています。
良性疾患ではありますが、日常生活の満足度に影響を与えるため適切な治療が必要となります。また、過敏性腸症候群の症状を訴える患者さまの中には、大腸癌・炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎・クローン病)など生命に影響を与える重篤な病気もあるため、診断には慎重を要します。

|過敏性腸症候群の診断

過敏性腸症候群の診断には国際診断基準のローマⅣ基準が用いられます。

【過敏性腸症候群の診断基準】

  1. 腹痛が直近3か月の1週間につき少なくとも1日以上を占め、
  2. 下記の2項目以上の特徴を示す
    ①排便に関連する
    ②排便頻度の変化に関連する
    ③便形状(外観)の変化に関連する

【過敏性腸症候群の分類】

過敏性腸症候群は中心となる症状で以下のように分類され、それぞれに合った治療を行います。

  • 便秘型:硬便または兎糞状便が25%以上あり、軟便(泥状便)または水様便が25%未満のもの
  • 下痢型:軟便(泥状便)または水様便が25%以上あり、硬便または兎糞状便が25%未満のもの
  • 混合型:硬便または兎糞状便が25%以上あり、軟便(泥状便)または水様便も25%以上のもの
  • 分類不能型:性状異常の基準がいずれも満たさないもの

ローマⅣ基準は検査を行わず症状のみで診断できるため、過敏性腸症候群の患者を絞り込むのに有用とされています。
しかし、本邦でローマⅢ基準(ローマⅣ基準の前のバージョン)に合致した患者さまに大腸内視鏡検査(大腸カメラ検査)を行ったところ、10.3%に大腸癌を含め何らかの異常所見を認めたと報告されています。過敏性腸症候群の診断で最も重要な大腸癌などの除外にはローマ基準のみでは不十分であることが分かります。
よって、過敏性腸症候群の診断においては、大腸癌や炎症性腸疾患などの可能性を疑うアラームサイン(警告兆候・症状)の有無を重要視します。本邦の学会ガイドラインでは、①発熱②関節痛③血便④6か月以内の予期せぬ3kg以上の体重減少⑤異常な身体所見(腹部腫瘤の触知・腹部の波動・直腸診による腫瘤触知・血液付着)をアラームサインとしています。これらのアラームサインが無い場合はローマ基準の診断精度は約98%であったとの報告も一部ありますが、やはり100%の完璧なものではありません。
 

|過敏性腸症候群の診断に大腸内視鏡検査(大腸カメラ検査)は必要か?

過敏性腸症候群と診断できる特徴的な大腸内視鏡所見は現時点では分かっていません。
それでは何故、腹痛や便通異常など過敏性腸症候群を疑う症状を認めた場合、われわれ消化器内視鏡専門医は患者さまに大腸内視鏡検査(大腸カメラ検査)を奨めるのでしょうか?

それは大腸癌や炎症性腸疾患など生命に影響を与える病気を完全に否定するためです。
本邦のガイドラインでは、先述のアラームサイン①~⑤があった場合、貧血・便潜血・低蛋白・炎症反応陽性といった検査の異常があった場合に大腸内視鏡検査(大腸カメラ検査)を推奨しています。
大腸癌リスクの高い50歳以上の発症、過去に大腸癌や炎症性腸疾患を罹患した患者さま、家族にこのような病気の人がいる場合も危険因子を有するとされ、大腸内視鏡を推奨しています。

以上よりガイドライン上は、50歳未満の発症で、アラームサインや採血などの検査異常がなく、危険因子もなくて、ローマⅣ基準を満たす場合は大腸内視鏡検査(大腸カメラ検査)を実施せずに過敏性腸症候群と診断できます。
確実に除外しなければいけないものが、生命に影響を与える病気であるため、大腸内視鏡を行わずに過敏性腸症候群と診断するにはいくつものチェックポイントをクリアしなければいけません。

また、本邦のガイドラインでは患者さまが検査を希望した場合も大腸内視鏡検査(大腸カメラ検査)を推奨しています。大腸内視鏡検査(大腸カメラ検査)を実施しないで過敏性腸症候群を診断することの難しさを補完するものです。
例えば50歳未満の大腸癌が全く存在しない訳ではありません。われわれ消化器内視鏡専門医は時にこの年代の大腸癌に遭遇します(本邦統計罹患率 35歳~49歳 11.9~38人/人口10万人対)。患者さまの「何かおかしい」「大腸癌が心配だ」という気持ちに対しては真摯に向き合わなければいけません。

良性疾患の過敏性腸症候群を疑う症状で大腸内視鏡検査(大腸カメラ検査)を行う最大のメリットは、大腸癌や炎症性腸疾患など生命を脅かす病気は存在しないと確実に保証できることです。
これは必ず患者さまが日々の生活を送る上で大きな「安心」になります。

近年の大腸内視鏡診断装置の進歩は目覚ましいものがありますが、未だ大腸内視鏡検査(大腸カメラ検査)は決して楽な検査ではないと思います。しかし、われわれ消化器内視鏡専門医は「苦痛の少ない」「安全で」「正確な」大腸内視鏡検査(大腸カメラ検査)を行えるように常に研鑽を積んでいます。
便秘、下痢、腹痛、血便など気になる症状が続く場合は心配なさらずに是非ご相談ください。

B型肝炎と肝炎治療実施医療機関の役割について(その1)
2020.05.10

B型肝炎と肝炎治療実施医療機関の役割について(その1)

 B型肝炎・C型肝炎はウィルスの感染により発病し、適切な治療を行わないまま放置すると慢性化し、肝硬変や肝がんといった重篤な病気を発症する恐れがあります。国内の感染者数はB型肝炎が約120万人(2011年)、C型肝炎が約200万人(2008年)と推定されています。国はB型肝炎・C型肝炎を国内最大の感染症と認識し、肝炎の早期発見、医療機関へのアクセス、肝炎の正しい知識の啓蒙など様々な課題の改善を目的として肝炎対策特別事業を展開しています。当院はこの事業における肝炎治療指定医療機関に指定されています。今回はB型肝炎・C型肝炎治療と肝炎治療指定医療機関の役割に関して、2回に分けてお話ししたいと思います。

・高額なB型肝炎治療薬と医療費助成制度

 近年の肝炎治療の進歩は目覚ましいものがあります。1980年代以降B型肝炎の治療ではインターフェロンが可能となりましたが、注射薬であること、副作用、有効率の低さから治療可能な患者さまは限定的でした。2000年以降ウィルスの増殖を抑制する核酸アナログという飲み薬が次々に登場し、副作用も少なく確実に肝炎を鎮静化できることから、多くの患者さまがこの治療薬の対象となりました。しかしながら、製薬会社の長年の研究努力によりこのような素晴らしい薬が創薬されたのですが、その対価としての薬価は決して安くはありません。例えば最新の核酸アナログであるベムリディーは1錠997円です。1日1錠を毎日内服しなければならないので、月のお薬代は約3万円になります。核酸アナログはウィルスの増殖を抑制する薬であり、完全に消失させるわけではありません。よって、基本的には生涯内服を続けなければいけない薬であり、その患者さまの経済的負担は計り知れません。肝炎対策特別事業ではこの高額な治療費をサポートする医療費助成制度があり、これにより多くの患者さまが経済的な不安を感じずに治療を受けられるようになりました。
 肝炎治療で医療費の助成を受けるには診断書作成指定病院(県内では21施設が指定されています)の肝臓専門医・消化器病専門医に診断書を作成してもらい、申請する必要があります。助成が認可されれば、以後は当院のような治療実施指定病院(県内では約230施設が指定されています)でも治療を受けることができます。

・医療費助成の手続きの簡素化と通院負担軽減の可能性

 B型肝炎の治療に有効な核酸アナログはこれまで5種類が発売されました。ゼフィックス(一般名:ラミブジン)という初期の核酸アナログでは耐性(薬が効かない)ウィルスが高頻度に出現することが問題でした。また、耐性ウィルスの出現時は専門的な知識による対応が必要でした。次に発売されたヘプセラ(一般名:アデホビル)は、ゼフィックスほどではありませんがやはり耐性ウィルスの懸念があり、それだけではなく長期の服用による副作用にも注意を払う必要がある核酸アナログでした。しかしながら、2006年に発売されたバラクルード(一般名:エンテカビル)は耐性ウィルスの出現や副作用の心配が少ない核酸アナログで、以後、安心して治療できるようなりました。2017年にはベムリディー(一般名:テノホビルアラナフナミドフマル酸塩~少々長いので我々専門医はTAFと言っています)という核酸アナログが発売されました。これは、2014年に発売されたテノゼット(一般名:テノホビル)を改良したもので、耐性ウィルスの出現率は極めて低く、またテノゼットの課題であった長期内服による副作用を大幅に軽減した、非常に優れた核酸アナログです。

 これまで医療費助成で核酸アナログの治療を続けるには、毎年、診断書作成指定病院の医師に更新のための診断書を作成してもらう必要がありました。これはB型肝炎の患者さまにとって大きな負担であったと思います。以前、私は青森県の八戸市立市民病院(医療圏30万人の中核病院)に勤務していました。その地域の診断書作成病院の一つであったため、毎年春には60人くらいの核酸アナログの医療費助成更新の診断書を作成していました。バラクルードが使用できるようになってからのB型肝炎治療は素晴らしく、耐性ウィルスや副作用の心配がほぼなくなりました。青森県は広大な地域です。検査と薬の処方のために遠方から何時間もかけて通院されている患者さまも多くいて、負担軽減のためクリニックとの病診連携を常に模索していました。平成27年よりB型肝炎の核酸アナログ治療では医療費助成の手続きが簡素化され、これまで必要であった更新のための医師の診断書が不要となりました。これにより利便性の高い近隣の治療実施指定病院でより治療が受けやすい環境が整ったと思います。

 B型肝炎は早期に発見し、医療機関や助成制度を上手に利用すれば、治療薬の進歩もあり、多くの患者さまが健康な人と変わらない生活を送れるようになりました。しかし、残念ながら未だウィルスを完全に体内から排除することは難しく、長期にわたる核酸アナログの内服が必要な病気です。当院は肝炎治療医療機関としてB型肝炎の「真の完治」の日がくるまで、患者さまと向き合いながら健康をサポートしていきます。

 次回はC型肝炎と肝炎治療実施医療機関の役割についてお話しします。

難病指定医について
2018.12.03

難病指定医について

 当院は消化器疾患領域の難病指定医療機関に認定されています。難病指定医なんて聞いたことがないと言われる方が多いと思いますので、少し難病指定医の役割についてお話ししたいと思います。

 まず「難病」という言葉はいつ頃から用いられるようになったのでしょうか?人は皆いつか病気になってしまいます。科学の未発達時代には多くの病気が克服できなかったと思います。「不治の病」の定義はその時代の医療や社会の事情により変わるものです。国が初めて「難病」を認識し対策を講じたのは、スモン(亜急性脊髄神経症)という病気だったそうです。昭和30年頃に流行した下半身の麻痺や視力障害をきたす原因不明の病気でした。患者の多い地域の地名から「釧路病」とも言われ、当初はその地域に土着するウィルスが原因の風土病ではないかと考えられていました。しかし、患者数の増加に伴い国はこの原因不明の病気に対し早急に研究班を設立し、大規模な疫学調査を行い、「キノホルム」という整腸剤が原因であることを突き止めました。キノホルムの発売が中止されてから患者は激減したそうです。この経験から我が国は、例え難病と言われている病気であっても、国家の総力を結集し研究を行えば、その原因が解明されるかもしれないという教訓を得ました。国は昭和47年に難病対策要綱を策定し、難治性肝疾患をはじめ8疾患を研究対象として選定し、そのうち4疾患を医療費の助成対象としました。その後、約半世紀が経過し社会保障制度の変化、患者数の増加、予算確保などの荒波に揉まれながらも、平成30年には331疾患が指定難病となっています。

 難病指定医の役割は2つあります。一つは患者様が難病にかかっていること及びその病気の程度を診断し、証明書を作成することです。これは、難病の疫学調査や医療費助成の診断書として利用されます。もう一つは患者様に対して、難病に関する情報を提供することです。よって、指定医には、対象となる難病の診断・治療に5年以上の経験もしくは専門医資格が必要です。私の場合は、仙台医療センターや東北大学病院で7年間、難治性肝疾患診療のトレーニングを受け、消化器病専門医、肝臓専門医の資格取得後、平成20年に難病指定医(消化器領域)の認定を受けました。

 難病というと「希少な疾患」というイメージを持つかもしれませんが、必ずしもそうとは限りません。肝臓専門医は、自己免疫性肝炎や原発性胆汁性肝硬変(原発性胆汁性胆管炎)といった指定難病は比較的よく遭遇する病気です。私は平成20年から27年まで青森県の八戸市立市民病院(医療圏30万人の地方中核病院)に勤務していました。勤務当初はその地域では唯一の肝臓専門医でした。この7年間に、私は肝生検で28人の原発性胆汁性肝硬変、34人の自己免疫性肝炎の患者様の確定診断を行いました。原発性胆汁性肝硬変には、抗ミトコンドリア抗体という血液検査で分かる強力な診断マーカーがあるため、肝生検を行わないで診断ができる場合があります。また、ご高齢の患者様や状態の悪い患者様は肝生検ができません。診断確定後に他医から引き継いだ患者様もおり、実際診療にあたった患者様は110人くらいにのぼります。

 原発性胆汁性肝硬変は国の疫学調査で分かっている患者数だけでも約2万人です。調査に参加してない患者様もいるので、実際にはもっと多く罹患しているはずです。自己免疫性肝炎は、最近やっと疫学調査の対象となったため現在患者数は不明ですが、国は1万人程度を想定しているようです。よって、原発性胆汁性肝硬変や自己免疫性肝炎といった指定難病は決して「稀な」な病気ではないのです。

 難病というと「不治の病」=(イコール)「死」を連想するかもしれません。しかし、必ずしもそうではありません。例えば、原発性胆汁性肝硬変では、ウルソデオキシコール酸という安価で安全性の高い薬の内服でほとんどの患者様は病状が安定します。病気が進行して症状が出現するのは10人に1人です。その中で、肝臓が全く機能しなくなるまで進行し、肝移植の考慮にまで至るのは10人に1人と言われています。自己免疫性肝炎の場合も免疫を調整する薬で安定する患者様が多いです。軽症例では、前述のウルソデオキシコール酸のみでコントロールできる場合もあります。残念ながら、どちらの病気も現時点で「完治」というのは難しいですが、早期に診断し、きっちりと治療を行えば、ほとんどの患者様が健康な人と変わらない生活を送ることができるのです。

 難病指定医は、長い航海の「水先案内人」のようなものです。病気に関する知識と経験を生かし、様々な不安を抱える指定難病の患者様が平穏な日常を過ごせるよう導くのが我々の仕事です。いつか病気が克服される日が来ると信じて、患者様と日々向き合っていきます。

糖尿病の診断について(血糖値とHbA1Cについて)
2018.11.19

糖尿病の診断について(血糖値とHbA1Cについて)

 皆さん今年度の健康診断の結果はいかがでしたか?当院はこの度念願であった糖尿病迅速診断装置を導入しました。今回は糖尿病の診断に関して少し触れたいと思います。

 そもそも糖尿病とはインスリン(膵臓から分泌される血糖値を下げるホルモン)の作用不足によって、血糖値の高い状態が続く病気です。高い血糖は血管を傷つけ、さまざまな糖尿病合併症を引き起こします。よって、血糖値を見ることは糖尿病の診断には非常に重要です。しかし、1回だけの血糖値では糖尿病の診断をすることはできません。「去年の健康診断は血糖値160で糖尿病と言われたけど、今年は120だった。何もしてないのに良くなったよ。」とお話しになる患者様がいます。これは、本当に良くなったのでしょうか?健康な人でも血糖値は食事・運動・ストレスなどの影響を受け70mg/dl〜140mg/dlぐらいの幅で変化します。糖尿病の患者様ではこの上昇の幅はより大きくなります。1回の血糖値のみで糖尿病の診断ができないのはこのためです。これを補うためにHbA1C(ヘモグロビンA1C)など過去にさかのぼって長期の血糖値の状態を把握する検査と照らし合わせて、糖尿病の診断を行います。

 日本糖尿病学会の糖尿病診断では

  • 血糖値(空腹時≧126mg/dl、75gOGTT2時間≧200mg/dl、随時≧200mg/dlのいずれか)
  • HbA1C≧6.5%

を糖尿病型としています。

 血糖値とHbA1Cが共に糖尿病型であるとき糖尿病と診断します。血糖値・HbA1Cのどちらか一方のみが糖尿病型の場合は再検査します。再検査で血糖値が糖尿病型の時は糖尿病と診断できます。最初の検査で血糖のみが糖尿病型、再検査でHbA1Cのみが糖尿病型の場合も糖尿病と診断できます。

 上記のOGTTとはブドウ糖負荷試験のことです。前日の夜から絶食とし、朝にクリニックに来院していただき、75gブドウ糖を水に溶かしたもの(トレーランGというジュースのようなものを使用するのが一般的)を飲み、30分、60分、120分と採血し血糖値の推移を調べます。いわゆる隠れ糖尿病の診断に役立ちます。また、糖尿病の診断に至らない患者様でも、60分の血糖値が180mg/dl以上の場合は、将来糖尿病を発症する可能性が高いと言われ、慎重な経過観察を必要とします。

 日本糖尿病学会では以下のような患者様にこの検査をすすめています。

1.強く推奨される場合(現在の糖尿病の疑いが否定できないグループ)

  • 空腹時血糖値 110〜125mg/dlのもの
  • 随時血糖値 140〜199mg/dlのもの
  • HbA1Cが6.0〜6.4%のもの

2.行うことが望ましい(将来糖尿病を発症する可能性が高いグループ、高血圧、脂質異常症、肥満など動脈硬化のリスクをもつものは、特に施行が望ましい)

  • 空腹時血糖値が100〜109mg/dl
  • HbA1Cが5.6〜5.9%もの
  • 上記を満たさなくても、濃厚な糖尿病の家族歴や肥満が存在するもの

 糖尿病は自覚症状に乏しく、健康診断などでの早期発見が大切です。今一度、ご自身の今年度の健康診断の結果をご確認ください。

夏バテ予防は「胃腸のケア」がポイント
2018.07.26

夏バテ予防は「胃腸のケア」がポイント

連日、厳しい暑さが続きますね。この季節になると「食欲がでない」「胃もたれ」「下痢をする」「頭痛がする」「体がだるい」などといった不調を訴えて来院する患者様が増えます。

このような夏の時期に見られる慢性疲労を総称して「夏バテ」といいます。特に代表的な症状は胃腸障害です。

では何故このような症状が出るのでしょうか?通常、人間の体は自律神経(交感神経と副交感神経)が、気温の上昇に応じて血管をひろげて汗とともに熱を逃がし、気温の低下に合わせて血管を縮めて熱を保つことで体温を一定に調節しています。ところが夏の暑さや冷房などの影響で自律神経がオーバーワークになると、体温調節のバランスが乱れて体の随所にさまざまな不調を引き起こすのです。胃の場合は交感神経が強く働くことで血管が収縮して血流量が減り、胃の蠕動運動の低下や胃酸・胃粘液の分泌減少をもたらします。そのため胃の働きが全体的に低下し、食欲不振や胃もたれといった症状を引き起こします。

ではこのような夏バテを予防するにはどうしたら良いのでしょうか?暑い日の食事は、ついつい冷たいものやさっぱりしたものだけで済ませてしまいがちです。しかし、これでは夏バテを乗り切ることはできません。たとえ暑い日でも栄養をしっかり摂ることが大切です。

例えば、香辛料は胃の働きを良くし、消化を助けると言われています。また、お酢などの酸味は唾液や胃酸の分泌を促し、食欲を増進させると言われます。ですから、夏の食事ではこれらを上手に使用するのが良いでしょう。しかしながら、弱りすぎた胃腸では、香辛料やお酢が逆に負担になってしまうこともあります。そのような時は、胃粘液を分泌させる薬、胃酸の過剰分泌抑え胃を修復させる薬、胃の運動機能を高める薬などで、疲れた胃を少し助けてあげるのもいいかもしれません。また、夏バテ予防のポイントは胃腸にあるという考え方は東洋医学でも同様であり、胃腸の機能を高める漢方を用いることもあります。「補中益気湯」「清暑益気湯」「六君子湯」などといった漢方薬もおすすめです。

「胃腸のケア」をきっちり行い、この厳しい夏を乗りきりましょう。

ホームページが完成しました!
2018.07.03

この度、角田記念まつだクリニック内科・消化器内科のホームページをOPENいたしました。急な休診や診療時間の変更に関しても、ホームページで事前にお知らせいたしますので、ご来院の際にご確認頂きますようお願い致します。

また、地域の皆様の健康サポートの1つとして、呼びかけやコラムなども更新して参りますので是非ご覧ください。