INFORMATIONお知らせ

令和3年度 当院における大腸内視検査(大腸カメラ)の実施状況
2022.04.14

仙台で大腸内視鏡検査はまつだクリニック

昨年度の当院の大腸内視鏡実施状況に関してご報告します。当院で大腸内視鏡検査を受けられる患者さまの参考になれば幸いです。

・実施した数

令和3年度 184人          
令和2年度 156人          
令和1年度 136人
平成30年度 162人

 

・実施した大腸内視鏡の詳細

全大腸内視鏡検査 118人(64%)
鎮静剤を使用した(眠ってする)全大腸内視鏡検査 51人(27%)
S状結腸内視鏡* 15人(8%)

 

・主な検査の目的

血便の原因を調べるため 30人(16%)
腹痛、下痢、便秘などの症状の原因を調べるため 49人(26%)
前回の大腸カメラで指摘された病変の経過観察のため 23人(12%)
健康診断(便潜血反応など)で異常を指摘されたため 63人(34%)

 

・診断した大腸の病気で特筆すべきもの

進行大腸癌 1人
早期大腸癌 3人
大腸ポリープ 70人
潰瘍性大腸炎・クローン病 4人
虚血性腸炎 1人
アメーバー性腸炎 1人

 

・大腸ポリープの転帰

当院でポリープを治療切除 6人   
高次医療機関にポリープの診断治療を依頼 10人   
経過観察 54人   

 

≪総括≫

コロナウィルス流行に伴う病院への受診控えが問題となっていますが、昨年度の当院での大腸内視鏡検査の実施数は例年並みといった状況です。

患者さまの苦痛の少ない内視鏡へのニーズの高まりにより、鎮静剤を使用した大腸内視鏡の割合は3割程度と年々増加傾向にあります。クリニックを移転後、鎮静剤を使用した内視鏡を行えるよう環境整備したこともあり、最近では私自身も大腸内視鏡に対する不安感の強い患者さまへは積極的に鎮静剤の使用を勧めるようになりました。まずは、大腸内視鏡検査を受けていただき、しっかりと診断を行うことが大切だと考えています。

大腸ポリープに関しては、昨年度当院では6人の患者さまの治療を行いました。すべて偶発症なく無事に完了しています。技術的に難しい患者さまに関しては東北大学病院、仙台医療センター、東北医科薬科大学病院、仙台市立病院に治療を依頼しました。

昨年、無症状のアメーバー性腸炎を経験しました。アメーバー性腸炎は赤痢アメーバに汚染されたものを摂取することにより発症し、多くは腹痛、下痢、血便といった症状を呈します。私が当院に着任してから3人目のアメーバー性腸炎の患者さまですが、これまではいずれも症状のある患者さまでした。しかしながら、今回のように便潜血陽性のため内視鏡を行い発見されるケースが0.1%の頻度であると国内で報告されています。症状ない患者さまの大腸内視鏡検査においても留意しておかなければいけません。

*S状結腸内視鏡検査:
通常の大腸カメラは下剤を内服して腸を空っぽにしてから内視鏡を挿入し肛門から盲腸まで全ての大腸を観察します。よって、全大腸内視鏡検査ともいいます。S状結腸内視鏡は肛門から近い部分の大腸(S状結腸~下行結腸まで)のみ観察します。当院では血便の患者さまが来院したとき、浣腸や下剤を使用せずに当日緊急で行っています。下剤を内服しないため、また奥まで内視鏡を挿入しないため、安全に行うことができます。また、出血の程度が分かるため緊急性の有無の判断に役立ちます。血便の場合は肛門から近い大腸に病気が存在することが多いため、出血の原因が診断できることもあります。しかしながら、下剤を内服していないため便や血液が邪魔をして詳細な観察ができません。また、全ての大腸を観察していないのが不十分です。よって、多くの場合、後日下剤を内服して全大腸内視鏡を行っています。その前の偵察のようなものです。