令和3年度 当院における上部内視検査(胃カメラ)の実施状況
2022.04.14
昨年度の当院の胃カメラの実施状況に関してご報告します。当院で胃カメラを受けられる患者さまの参考になれば幸いです。
・実施した人数
令和3年度 | 528人 |
令和2年度 | 555人 |
令和1年度 | 570人 |
平成30年度 | 540人 |
・検査の種類
経口内視鏡(口からの胃カメラ) | 286人(54%) |
経鼻内視鏡(鼻からの胃カメラ) | 192人(36%) |
鎮静剤を使用した上部内視鏡(眠ってする胃カメラ) | 50人(9%) |
・主な検査の目的
胃の痛み・胸やけなど症状の原因を調べるため | 200人(38%) |
前回の胃カメラで指摘された病変の経過観察のため | 96人(18%) |
健康診断(バリウムなど)で異常を指摘されたため | 54人(10%) |
仙台市胃がん内視鏡検診 | 140人(26%) |
・診断した胃の病気で特筆すべきもの
早期胃癌 | 6人 |
未治療のピロリ菌による胃炎 | 54人 |
治療を必要とする逆流性食道炎 | 8人 |
胃・十二指腸潰瘍 | 5人 |
胃粘膜下腫瘍 | 15人 |
胃腺腫 | 3人 |
食道胃静脈瘤 | 2人 |
アニサキス症 | 1人 |
薬剤性食道炎 | 1人 |
≪総括≫
昨年度の胃カメラの受診者は例年より若干少なめでした。コロナウィルス流行に伴う病院への受診控えが問題となっておりますが、幸い当院では進行胃癌の患者さまはいませんでした。
早期胃癌と診断した患者さまは例年より多かった印象です。昨年、胃カメラを最新機種に更新したこと、開院後24年が経過しかかりつけ患者さまが高齢化してきていることが影響していると推定しています。
衛生環境の向上から国内ではピロリ菌感染者は減少傾向にありますが、当院ではピロリ菌による胃炎の診断は増加傾向にあります。2020年にピロリ菌の診断装置を導入したため、ピロリ菌の診療治療目的に受診される患者さまが増加したためと推定しています。
胃カメラの苦痛軽減のニーズは年々高まっていて、昨年度は半分弱の患者様が経鼻内視鏡や鎮静剤を使用した内視鏡を選択していました。従来の経鼻内視鏡は画質にやや不満がありましたが、最新機種ではこれを克服しているため自信をもってお勧めできるようになりました。苦痛なく精度の高い検査を受けられるように今後も環境を整えていきたいと思います。
昨年度、ダビガトラン(商品名:プラザキサ)による薬剤性食道炎を経験しました。胸やけのある患者さまの原因を調べるため胃カメラを行ったところ、特徴的な食道炎を認めました。ダビガトランを内服していたため、この疾患を疑い他の薬に変更したところ改善しました。ダビガトランは心房細動の患者で血栓予防のために使われる抗凝固薬です。この病気は2012年頃に報告され、当時は話題になりました。近年は他の抗凝固薬がいくつか発売され、ダビガトランを内服している患者さまは減った印象です。しかしながら、いまだ留意しなければいけない病気であると思いました。
院長
青森県三沢市出身
函館ラ・サール高校卒
近畿大学医学部卒
医学博士
日本内科学会認定 総合内科専門医
日本消化器病学会認定 消化器病専門医
日本内視鏡学会認定 内視鏡専門医
日本肝臓学会認定 肝臓専門医
日本医師会認定 産業医
日本肝癌研究会 会員
日本超音波学会 会員
難病指定医 消化器科
身体障害者福祉法第15条第1項による指定医(障害区分:肝臓の機能障害)