当院ではCAVI検査(動脈硬化・動脈閉塞・血管年齢の診断)が受けられます。
2024.04.19

■動脈硬化とは?
文字どおり動脈が硬くなる状態のことです。肥満などにより、血液中のコレステロールが増加しこの状態が長く続くと、血管の壁に悪玉コレステロールが蓄積していきます。これを粥腫(じゅくしゅ)といいます。粥腫は蓄積することで血管の内腔を狭くし、剥がれたりすると血液の流れを塞いでしまうこともあります。高血圧は血管に負担をかけ粥腫の破綻を増長します。糖尿病は血管をもろくし動脈硬化を加速させます。血管が詰まってしまうと、臓器や組織に血液が流れず、その場所が壊死して狭心症や心筋梗塞、脳梗塞などの心臓や血管の病気を発症しやすくなります。また、硬くなった血管はもろく、破れやすいため、脳出血やクモ膜下出血の発症リスクが高まります。
■CAVI検査とは?
動脈硬化の進行度を評価し、心臓や血管の病気の早期発見につながるのが、CAVI検査です。CAVIとは、心臓(Cardio)から足首(Ankle)までの動脈(Vascular)の硬さの指標(Index)の略で、動脈硬化の指標です。CAVIの測定をするときは、ベッドに仰向けに寝てもらい、両腕、両足首にカフを、胸元に心音マイクをつけ、血圧と脈波を測定します。時間は5分程度で済み、患者さんに痛みなどの苦痛はありません。血圧測定と同じような簡単な検査です。検査結果もその場で出るため、その日のうちに医師の診断が受けられます.
■CAVI検査ではどのようなことが分かるのか?
1.動脈の硬さ
CAVIの値が8.0未満は正常範囲ですが、8.0~9.0は境界域で、9.0より高いと動脈硬化が進んでいるといえます。
2.動脈の詰まり
ABIの値は、0.9以下だと足の動脈の詰まりが疑われ、値が低いほど重症になります。
3.血管年齢
CAVIの値が9.0未満であっても、血管年齢が高い人は、同じ年齢の人に比べて動脈硬化の進行が早いと考えられます。
これらの情報は、脳梗塞や心筋梗塞のリスクを予測し、高血圧、糖尿病、高脂血症の治療の方針決定の決定に役立ちます。また、運動・食事療法やお薬の治療を行ったときの効判定にも役立ち、生活習慣病の治療継続に対するモチベーション維持にも役立ちます。
■検査の費用は?
血圧脈波検査(CAVI検査、ABI検査)
・保険診療
300円(自己負担3割)
100円(自己負担1割)
注:初診料・再診料などは含まれません。
・自由診療
1,500円(税込)
検査をご希望の方はご遠慮なくご相談ください。
だ液によるがんリスク検査『サリバチェッカー』が当院で受けられます
2024.01.29

サリバチェッカーは、医療ベンチャー企業 株式会社サリバテックが運営するがんリスク検査サービスです。がんで異常値を示すだ液中の物質(ポリアミン類)をAIで解析することで、6つのがんのリスク(肺がん、膵がん、胃がん、大腸がん、乳がん、口腔がん)を調べることができます。
■特徴
✓たった0.1mlのだ液を提出するだけなので検査による体の負担が少ない。
✓一度に6種類のがんのリスクが把握できる。
✓検査時のリアルタイムのリスク評価であるため、繰り返し行うことによりがんの早期発見につながる可能性がある。
✓検査結果は医療機関を介して受け取るので、リスク値が高い場合は医師に直接相談できる。
■検査費用
19,800円(税込)
■検査の申し込み方法
当院で行う方法と、検査キットを持ち帰り自宅で行う方法があります。
詳しくは電話もしくは受付にて当院にご相談ください。
※本検査は自由診療ですので、検査料は全額自己負担となります。
※検査結果について医師から説明を受けたり相談する場合は通常診療と同様に診察料などがかかる場合があります。
※サリバチェッカーは、がんを「診断」するための検査ではありません。 がんを「診断」するためには、医療施設でより精密な検査を受けていただく必要があります。
【重要】発熱等の症状のある患者さまは直接来院せず受診前に必ずご予約ください
2024.01.23

新型コロナウイルスが完全に撲滅されていない昨今の状況下においては、発熱のある患者さまを診察・検査する際には十分に感染防御策を講じる必要があります。
当院では下記のような感染予防策を行っており、その確実な実践のため、2日以内に37.5℃以上の発熱の症状のある患者さまにおいては、直接来院せず受診前に必ずご予約の上で来院してください。院内感染防止のためご理解・ご協力の程よろしくお願いします。
【発熱外来の受診の方法】
①電話もしくはWEB(「発熱外来」メニューを選択)から診察をご予約ください。
②クリニックへ到着したら、院内に入らず電話もしくは玄関のインターホンでお知らせください。スタッフがお迎えに参ります。
③同時にご家族の診察を希望される場合は2人まで可能です。
電話の場合は予約時にスタッフへお伝えください。ネット予約の場合は同時に希望されるご家族の人数を選択してください。
【発熱のある患者さまに対しての当院の感染予防策】
・原則予約制で診察しています。
・一般の患者さまが使用する診察室とは違う場所で診察しています。また、一般の患者さまとは可能な限り交わらない動線でご案内しております。
・医師や看護師はマスク、フェイスシールド、ガウンなどの個人防護具を使用して診察します。
【発熱のある患者に対して当院で可能な検査】
・新型コロナウイルス(COVID-19)PCR検査
・新型コロナウイルス(COVID-19)抗原検査
・インフルエンザ抗原検査
・溶連菌検査、胸部レントゲン、超音波検査、採血、採尿など
【患者様へ】
・診察の進行状況によっては自家用車などでお待ち頂く事があります。
・当院は宮城県が指定する「発熱等の症状のある方の検査・診療ができる医療機関」です。発熱・息切れ・咳・痰・強い倦怠感などといった新型コロナウイルスを完全に否定できない症状の患者さまを診察する際は十分な感染防止策を講じる必要があるため、その体制維持のため厚生労働省・宮城県の指導のもと【院内トリアージ実施料】(3割負担の場合440円)を算定しています。
女性の「貧血」の原因と受診する科
2023.12.04

貧血とは血液の赤血球に含まれるヘモグロビンという物質が少なくなった状態です。
ヘモグロビンは血流に乗って酸素を身体全体に運ぶ働きをしています。よって、貧血では酸素の供給が低下して、疲れやすい・息切れ・めまい・動悸といった症状が出ます。
また、女性の場合は貧血の状態に慣れてしまい自覚症状がなく、健康診断で初めて指摘されることもあります。
このように女性にとって貧血とは健康診断で最も多く認める異常の一つですが、症状がなくても放置してはいけません。そこには重大な病気が潜んでいるかもしれません。
それでは、貧血の場合はどの診療科を受診するのがよいのでしょうか?やはり内科でしょうか?
|貧血の原因について
貧血には色々な種類がありますが、女性の貧血の90%以上はヘモグロビンの材料となる体内の鉄が不足しておこる「鉄欠乏性貧血」です。
鉄欠乏性貧血の原因としては、月経の量が多すぎること(過多月経)が最も多いです。
比較的頻度が多く生命に影響を与える可能性がある原因としては、胃や大腸からの出血(消化管出血)や月経時以外の女性器からの出血(不正性器出血)です。これらの症状がある場合は悪性のがんが潜んでいる可能性があり注意が必要です。
貧血には腎臓や血液の病気によるものもありますがその頻度はあまり多くありません。
鉄欠乏性貧血の原因
| 出血による鉄の喪失 |
|
| 鉄の吸収不良 | 胃炎による胃粘膜の異常や胃切除などによる鉄の吸収不良 (鉄が体に吸収されるには胃酸が必要です) |
| 鉄摂取量の不足 | 偏食やダイエットで食事からの摂取量が不足 |
| 鉄の需要の増加 | 妊娠や授乳など |
|女性の「貧血」はまずは婦人科または消化器内科に相談を!
女性の貧血で過多月経や不正性出血がある場合は婦人科へ相談するのをおすすめします。
血便・腹痛・便秘といった胃腸の症状を伴う場合、閉経した女性、胃がんや大腸がん検診を受けていない方は消化器内科に相談するのがよいと考えます。
これらに該当しない場合は一般内科でもよいでしょう。
消化器内科医は貧血の相談を受けることが多い診療科です。よって、当院も貧血の患者さまが頻繁に受診されます。
まずは、“総合内科専門医”として貧血が婦人科疾患・消化器疾患・血液疾患・腎疾患・その他の疾患のいずれかが原因となっているか調べます。消化器疾患が原因として疑われる場合は“消化器内科専門医”“消化器内視鏡専門医”として、胃や大腸に貧血の原因となる病気がないか調べます。
婦人科疾患が疑われる場合は併設している“ちえこ・ゆきかレディースクリニック”の女性医師と連携をとりながら診療を行っています。
健康診断で「貧血」を指摘された際は遠慮なく仙台市若林区六丁の目駅前の角田記念まつだクリニック内科・消化器内科までご相談ください。
糖尿病の診断について(血糖値とHbA1Cについて)
2023.10.23

皆さん今年度の健康診断の結果はいかがでしたか?
仙台市若林区六丁の目にある角田記念まつだクリニック内科・消化器内科では、短時間かつ少量の血液で糖尿病の診断できる検査装置を導入しています。
今回は糖尿病の診断に関して少し触れたいと思います。
そもそも糖尿病とはインスリン(膵臓から分泌される血糖値を下げるホルモン)の作用不足によって、血糖値の高い状態が続く病気です。高い血糖は血管を傷つけ、さまざまな糖尿病合併症を引き起こします。よって、血糖値を見ることは糖尿病の診断には非常に重要です。しかし、1回だけの血糖値では糖尿病の診断をすることはできません。「去年の健康診断は血糖値160で糖尿病と言われたけど、今年は120だった。何もしてないのに良くなったよ。」とお話しになる患者様がいます。これは、本当に良くなったのでしょうか?健康な人でも血糖値は食事・運動・ストレスなどの影響を受け70mg/dl〜140mg/dlぐらいの幅で変化します。糖尿病の患者様ではこの上昇の幅はより大きくなります。1回の血糖値のみで糖尿病の診断ができないのはこのためです。これを補うためにHbA1C(ヘモグロビンA1C)など過去にさかのぼって長期の血糖値の状態を把握する検査と照らし合わせて、糖尿病の診断を行います。
日本糖尿病学会の糖尿病診断では
- 血糖値(空腹時≧126mg/dl、75gOGTT2時間≧200mg/dl、随時≧200mg/dlのいずれか)
- HbA1C≧6.5%
を糖尿病型としています。
血糖値とHbA1Cが共に糖尿病型であるとき糖尿病と診断します。血糖値・HbA1Cのどちらか一方のみが糖尿病型の場合は再検査します。再検査で血糖値が糖尿病型の時は糖尿病と診断できます。最初の検査で血糖のみが糖尿病型、再検査でHbA1Cのみが糖尿病型の場合も糖尿病と診断できます。
上記のOGTTとはブドウ糖負荷試験のことです。前日の夜から絶食とし、朝にクリニックに来院していただき、75gブドウ糖を水に溶かしたもの(トレーランGというジュースのようなものを使用するのが一般的)を飲み、30分、60分、120分と採血し血糖値の推移を調べます。いわゆる隠れ糖尿病の診断に役立ちます。また、糖尿病の診断に至らない患者様でも、60分の血糖値が180mg/dl以上の場合は、将来糖尿病を発症する可能性が高いと言われ、慎重な経過観察を必要とします。
日本糖尿病学会では以下のような患者様にこの検査をすすめています。
1.強く推奨される場合(現在の糖尿病の疑いが否定できないグループ)
- 空腹時血糖値 110〜125mg/dlのもの
- 随時血糖値 140〜199mg/dlのもの
- HbA1Cが6.0〜6.4%のもの
2.行うことが望ましい(将来糖尿病を発症する可能性が高いグループ、高血圧、脂質異常症、肥満など動脈硬化のリスクをもつものは、特に施行が望ましい)
- 空腹時血糖値が100〜109mg/dl
- HbA1Cが5.6〜5.9%もの
- 上記を満たさなくても、濃厚な糖尿病の家族歴や肥満が存在するもの
糖尿病は自覚症状に乏しく、健康診断などでの早期発見が大切です。今一度、ご自身の今年度の健康診断の結果をご確認ください。
院内でピロリ菌の便中抗原検査ができるようになりました
2023.07.04

|ピロリ菌とは?
ピロリ菌は胃粘膜に生息する細菌で、胃がんの最大の原因です。
|ピロリ菌の検査方法
感染診断にはいくつかの方法がありますが、その中で尿素呼気試験は最も精度が高いとされています。
仙台の角田記念まつだクリニック内科・消化器内科では、2020年に尿素呼気試験の検査機器を導入し、短時間で感染診断を行うことができるようになりました。これにより、速やかにピロリ菌の除菌療法を開始することが可能となり、患者様の通院負担軽減に大きく貢献しています。
しかしながら、ごく稀にではありますが、内視鏡でピロリ菌感染を強く疑っても、尿素呼気試験で診断できない場合があります。
抗菌薬や胃薬などの服用、呼気の採取時に息止めが上手にできなかったことなどは、尿素呼気試験の偽陰性(実際は感染しているのに検査で陰性と判定されてしまうこと)の原因として知られています。このような場合は他の検査を行い、総合的にピロリ菌の感染診断を行います。
|精度が高く負担も少ないピロリ菌検査「便中抗原測定法」
当院では、便の中にピロリ菌の痕跡がないか調べる便中抗原測定法という検査を行っています。
方法は簡単で、専用容器で便を採取し、診断キットを用い10分程度で判定できます。
採便が必要であるという欠点はありますが、体への負担はなく、精度も近年はめざましく向上し、尿素呼気試験と比較しても遜色はありません。ピロリ菌治療後の効果判定にも使用できます。
これまで当院ではこの検査は外部の検査機関に委託していたため、診断まで数日を要していましたが、この度院内で実施可能となりました。これにより患者様のさらなる負担の軽減が期待できます。
仙台でピロリ菌の検査治療をお考えの方は、ぜひお気軽に若林区六丁の目駅前の角田記念まつだクリニック内科・消化器内科までご相談ください。
令和4年度 当院における上部内視検査(胃カメラ)の実施状況
2023.07.04

仙台の角田記念まつだクリニック内科・消化器内科で実施した、昨年度の胃カメラの実施状況に関してご報告します。
当院で胃カメラを受けられる患者様の参考になれば幸いです。
・実施した人数
| 令和4年度 | 518人 |
| 令和3年度 | 528人 |
| 令和2年度 | 555人 |
・検査の種類
| 経口内視鏡(口からの胃カメラ) | 253(48%) |
| 経鼻内視鏡(鼻からの胃カメラ) | 193人(37%) |
| 鎮静剤を使用した上部内視鏡(眠ってする胃カメラ) | 72人(14%) |
・主な検査の目的
| 胃の痛み・胸やけなど症状の原因を調べるため | 173人(33%) |
| 前回の胃カメラで指摘された病変の経過観察のため | 114人(22%) |
| 健康診断(バリウムなど)で異常を指摘されたため | 58人(11%) |
| 仙台市胃がん内視鏡検診 | 148人(29%) |
・診断した胃の病気で特筆すべきもの
| 未治療のピロリ菌による胃炎 | 50人 |
| 治療を必要とする逆流性食道炎 | 36人 |
| 胃・十二指腸潰瘍 | 9人 |
| 胃粘膜下腫瘍 | 16人 |
| 食道胃静脈瘤 | 2人 |
| アニサキス症 | 1人 |
≪総括≫
新型コロナウィルス感染拡大以降、内視鏡では厳重な感染対策の実施が必要となりました。
当院でも従来行っていた対策に加え、ガイドラインに準じて検温、換気、ガウン・フェイスシールド着用など、これまでにない対策を開始しました。
令和4年度は弱毒のオミクロン株が流行の主体となり、ワクチン接種率向上もあいまって、様々な状況で規制緩和が行われました。しかしながら、内視鏡診療の現場では依然として感染リスクを念頭におきながら診療を続けています。
医療のなかで内視鏡はコロナ流行以前から厳重な感染対策が要求される部門です。
近年、当院で感染対策として行ってきたことの一つは、内視鏡機材のディスポーザブル(使い捨て)への変更です。
以前は多くの機材を消毒滅菌し再利用していましたが、近年はディスポーザブル製品も発売されています。ディスポーザブルはコスト面では不利ですが(患者さまの検査費用には影響ありませんのでご安心ください)、感染予防には非常に有効です。
昨年度はマウスピース(胃カメラを嚙まないように口にくわえる器具)をディスポーザブルに変更しました。最も徹底した消毒滅菌を必要とする処置具の生検鉗子(癌が疑われるときに診断のため胃の粘膜を採取する器具)は、2019年にディスポーザブルに変更しています。これらの対策は当院の内視鏡の感染予防に大きく寄与すると考えています。
仙台市若林区六丁の目駅前の角田記念まつだクリニック内科・消化器内科では、患者様が安全に内視鏡を受けられるよう、常に検証を行い環境整備しています。
【受付を終了しました】看護師の募集について
2023.07.01

看護師募集の受付は終了いたしました。求人再開の際は改めてお知らせいたします。
角田記念まつだクリニックは地下鉄六丁の目駅から徒歩1分とアクセスも良く、車での通勤もOK!
角田記念まつだクリニックで一緒に働きませんか?
まずはお気軽にお電話にてお問い合わせください。
過敏性腸症候群の診断に大腸内視鏡検査(大腸カメラ検査)は必要か?
2023.06.15

過敏性腸症候群とは、腹痛と便秘や下痢などの便通異常が慢性に続いたり、繰り返したりする病気です。
日本人の約10~15%が罹患しているといわれ、われわれのような消化器内視鏡専門医のいる消化器内科専門クリニックを受診することが多い病気の一つです。ストレス・腸内細菌・脳内ホルモン・体内ホルモン・遺伝などが発症に関わっているといわれています。
良性疾患ではありますが、日常生活の満足度に影響を与えるため適切な治療が必要となります。また、過敏性腸症候群の症状を訴える患者さまの中には、大腸癌・炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎・クローン病)など生命に影響を与える重篤な病気もあるため、診断には慎重を要します。
|過敏性腸症候群の診断
過敏性腸症候群の診断には国際診断基準のローマⅣ基準が用いられます。
【過敏性腸症候群の診断基準】
- 腹痛が直近3か月の1週間につき少なくとも1日以上を占め、
- 下記の2項目以上の特徴を示す
①排便に関連する
②排便頻度の変化に関連する
③便形状(外観)の変化に関連する
【過敏性腸症候群の分類】
過敏性腸症候群は中心となる症状で以下のように分類され、それぞれに合った治療を行います。
- 便秘型:硬便または兎糞状便が25%以上あり、軟便(泥状便)または水様便が25%未満のもの
- 下痢型:軟便(泥状便)または水様便が25%以上あり、硬便または兎糞状便が25%未満のもの
- 混合型:硬便または兎糞状便が25%以上あり、軟便(泥状便)または水様便も25%以上のもの
- 分類不能型:性状異常の基準がいずれも満たさないもの
ローマⅣ基準は検査を行わず症状のみで診断できるため、過敏性腸症候群の患者を絞り込むのに有用とされています。
しかし、本邦でローマⅢ基準(ローマⅣ基準の前のバージョン)に合致した患者さまに大腸内視鏡検査(大腸カメラ検査)を行ったところ、10.3%に大腸癌を含め何らかの異常所見を認めたと報告されています。過敏性腸症候群の診断で最も重要な大腸癌などの除外にはローマ基準のみでは不十分であることが分かります。
よって、過敏性腸症候群の診断においては、大腸癌や炎症性腸疾患などの可能性を疑うアラームサイン(警告兆候・症状)の有無を重要視します。本邦の学会ガイドラインでは、①発熱②関節痛③血便④6か月以内の予期せぬ3kg以上の体重減少⑤異常な身体所見(腹部腫瘤の触知・腹部の波動・直腸診による腫瘤触知・血液付着)をアラームサインとしています。これらのアラームサインが無い場合はローマ基準の診断精度は約98%であったとの報告も一部ありますが、やはり100%の完璧なものではありません。
|過敏性腸症候群の診断に大腸内視鏡検査(大腸カメラ検査)は必要か?
過敏性腸症候群と診断できる特徴的な大腸内視鏡所見は現時点では分かっていません。
それでは何故、腹痛や便通異常など過敏性腸症候群を疑う症状を認めた場合、われわれ消化器内視鏡専門医は患者さまに大腸内視鏡検査(大腸カメラ検査)を奨めるのでしょうか?
それは大腸癌や炎症性腸疾患など生命に影響を与える病気を完全に否定するためです。
本邦のガイドラインでは、先述のアラームサイン①~⑤があった場合、貧血・便潜血・低蛋白・炎症反応陽性といった検査の異常があった場合に大腸内視鏡検査(大腸カメラ検査)を推奨しています。
大腸癌リスクの高い50歳以上の発症、過去に大腸癌や炎症性腸疾患を罹患した患者さま、家族にこのような病気の人がいる場合も危険因子を有するとされ、大腸内視鏡を推奨しています。
以上よりガイドライン上は、50歳未満の発症で、アラームサインや採血などの検査異常がなく、危険因子もなくて、ローマⅣ基準を満たす場合は大腸内視鏡検査(大腸カメラ検査)を実施せずに過敏性腸症候群と診断できます。
確実に除外しなければいけないものが、生命に影響を与える病気であるため、大腸内視鏡を行わずに過敏性腸症候群と診断するにはいくつものチェックポイントをクリアしなければいけません。
また、本邦のガイドラインでは患者さまが検査を希望した場合も大腸内視鏡検査(大腸カメラ検査)を推奨しています。大腸内視鏡検査(大腸カメラ検査)を実施しないで過敏性腸症候群を診断することの難しさを補完するものです。
例えば50歳未満の大腸癌が全く存在しない訳ではありません。われわれ消化器内視鏡専門医は時にこの年代の大腸癌に遭遇します(本邦統計罹患率 35歳~49歳 11.9~38人/人口10万人対)。患者さまの「何かおかしい」「大腸癌が心配だ」という気持ちに対しては真摯に向き合わなければいけません。
良性疾患の過敏性腸症候群を疑う症状で大腸内視鏡検査(大腸カメラ検査)を行う最大のメリットは、大腸癌や炎症性腸疾患など生命を脅かす病気は存在しないと確実に保証できることです。
これは必ず患者さまが日々の生活を送る上で大きな「安心」になります。
近年の大腸内視鏡診断装置の進歩は目覚ましいものがありますが、未だ大腸内視鏡検査(大腸カメラ検査)は決して楽な検査ではないと思います。しかし、われわれ消化器内視鏡専門医は「苦痛の少ない」「安全で」「正確な」大腸内視鏡検査(大腸カメラ検査)を行えるように常に研鑽を積んでいます。
便秘、下痢、腹痛、血便など気になる症状が続く場合は心配なさらずに是非ご相談ください。
令和4年度 当院における大腸内視検査(大腸カメラ)の実施状況
2023.06.13

昨年度の当院の大腸内視鏡実施状況に関してご報告します。当院で大腸内視鏡検査を受けられる患者さまの参考になれば幸いです。
・実施した数
| 令和4年度 | 202人 |
| 令和3年度 | 184人 |
| 令和2年度 | 156人 |
・実施した大腸内視鏡の詳細
| 全大腸内視鏡検査 | 108人(53%) |
| 鎮静剤を使用した(眠ってする)全大腸内視鏡検査 | 70人(34%) |
| S状結腸内視鏡 ※ | 24人(12%) |
・主な検査の目的
| 血便の原因を調べるため | 39人(19%) |
| 腹痛、下痢、便秘などの症状の原因を調べるため | 41人(20%) |
| 前回の大腸カメラで指摘された病変の経過観察のため | 25人(12%) |
| 健康診断(便潜血反応など)で異常を指摘されたため | 75人(37%) |
・診断した大腸の病気で特筆すべきもの
| 進行大腸癌 | 2人 |
| 大腸ポリープ | 70人 |
| 潰瘍性大腸炎 | 3人 |
| 虚血性腸炎 | 9人 |
| 神経内分泌腫瘍 | 1人 |
| カンピロバクター腸炎 | 1人 |
| 放射線腸炎 | 1人 |
・大腸ポリープの転帰
| 当院でポリープを治療切除 | 11人 |
| 高次医療機関にポリープの診断治療を依頼 | 13人 |
| 経過観察 | 46人 |
≪総括≫
平成4年度、大腸内視鏡検査を行う目的として最も割合が多いのは、健康診断で行った便潜血反応陽性の原因を調べるためでした。この傾向は数年来変わりありません。
また、ガイドラインにおいても、便潜血反応陽性は大腸内視鏡の絶対適応です。その中で、昨年度は2例の進行大腸癌を発見しました(2人/75人)。
便潜血反応は、食事の制限は不要、苦痛もなく、費用も安価、大腸がんによる死亡率低下のエビデンスもあり、大腸がん検診の方法として広く普及しています。
しかしながら、残念なことに本邦では陽性者の3割が精密検査を行わず放置されているといわれています。健康診断で便潜血反応が陽性であった場合は必ず大腸内視鏡検査を受けましょう。
昨年度、直腸の神経内分泌腫瘍を診断しました。神経内分泌腫瘍は神経内分泌細胞(ホルモンを産生する細胞)からできる腫瘍の総称であり、以前はカルチノイド腫瘍とも言われていました。その発生頻度は年間で新規患者数が10万人あたり3~5人であり、比較的稀な腫瘍です。
その多くは膵臓と消化管(特に直腸)に発生します。消化管に発生した場合は、稀に腫瘍からの出血で発見される場合がありますが、多くは無症状で内視鏡で偶然発見されます。内視鏡では黄白色の表面滑らかな隆起として見つかり、稀な腫瘍ではありますが特徴的な所見であり、経験のある専門医であるならば診断には苦慮しないと思います。
治療方針は通常の大腸癌と同様です。腫瘍が大きな場合は手術で摘出を行います。転移をみとめた場合は集学的な治療を行います。今回のケースでは幸い早期発見ができたため、高次医療機関へ紹介し内視鏡治療で完治することができました。
※S状結腸内視鏡検査については、「令和3年度 当院における大腸内視検査(大腸カメラ)の実施状況」をご参照ください。
